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クラシック音楽の低音
お客さまのやり取りの中でよく、『低音が足りない』ということを伺います。大抵の場合、クラシックの生演奏に比べ、Tour-X などのプロ用スピーカーで再生した音楽の方が、低音不足であると訴える方が多いです。
ただ、ここには、カラクリが隠されています。コンサートホールでのクラシックの生演奏が、なぜあそこまで低音がすごいのかというと、時間的には、前のタイミングで演奏者の楽器から出た音のうち、低音だけが消えずに、現在のタイミングまで、ホールの中を漂っているからです。それは、必ずしも、指揮者や演奏家がお客様に聞かせたい音ではありません。つまり、クラシックの生演奏の場合は、ほとんどの客席が、音響的にはあまり良い条件ではないのです。
レコーディングエンジニアたちは、このことをよく知っていますから、生演奏を録音する時は、二階の客席の一番前の天井からマイクを吊るし、そこから音を拾います。実は、この場所、二階の客席の、一番前の、マイクがぶら下がっている場所が、いつまでも漂っている低音を避けることができて、一番いい音で音楽が聴ける場所なのです。
だから、多くの客席でお聴きになるクラシックの生演奏の音と、CD に録音されたクラシック音楽の音は、だいぶ違うはずです。特に低音の響きについては、これらの音は全く違います。例えば、バックロードホーンスピーカーなどで低音ばかりを増強したものは、それは、元々 CD に入っている音ではありません。
こういう事情も含めて、低音の問題は思わぬところで皆さんの足を引っ張りますから、プロケーブル本店でも、低音の出過ぎに注意、と、警告を発しているわけです。
案外、生演奏というのは、一番いい音で聴ける席で聴かないと、オーディオ機器のセッティングには役に立たないものです。